帯状疱疹

Varicella-Zoster

帯状疱疹|枚方市の内科・消化器内科・循環器内科 - 医療法人優和会 関根医院

帯状疱疹

Varicella-Zoster

帯状疱疹

帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster Virus:VZV)によって引き起こされる、主に体の片側で帯状に小さな水ぶくれと赤み、神経痛を伴う皮膚の病気です。
日本での帯状疱疹の頻度は年間1,000人あたり5人程度とされており、年齢が上がるに従って発症頻度は増加し、50歳から発症率が急激に上昇し70歳代の方が一番多く発症します。70歳以上では1,000人当たり10人以上の頻度といわれています。80歳までに、3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定されています。日本では、ご高齢の方が増加しているので今後も発症数は増えていくと考えられています。以前は生涯に一度しか発症しないとされていましたが、最近の調査で15人に1人は再発するとわかってきました。

症状

帯状疱疹

頭痛や脇、背中の痛みや違和感(前駆痛)として発症することが多く、皮膚の変化が数日してから出現することがあります。皮膚の症状は、主に片側にむくみと赤みが出現し、軽い発熱やリンパ節の腫れも一緒に出てくることがあります。皮膚と神経で炎症が起こるため、強い痛みが現れ、赤みの上に多数の小さな水ぶくれができます。水ぶくれは破れて、ただれた状態となり、約2週間で乾燥しはじめ、かさぶたができます。かさぶたは3週間程度で剥がれて治ります。

治療

治療は抗ヘルペスウイルス薬(バラシクロビルやアメナメビルなど)で行います。皮膚の変化が出てから3日以内に治療を開始することが最も適しています。なるべく早めに治療を行う方が合併症の予防につながります。

リスク

帯状疱疹を発症するリスクは水痘・帯状疱疹ウイルス感染歴(水痘、生ワクチン)、50歳以上、免疫抑制状態、免疫抑制剤の使用、HIV/AIDS、骨髄・臓器移植、悪性腫瘍、長期のステロイド使用、精神的ストレス、外傷などが挙げられており、他にも全身性エリテマトーデス(SLE)、慢性関節リウマチ、糖尿病、高血圧、腎不全などの疾患でリスクが上昇すると知られています。

合併症

帯状疱疹の合併症は、脳髄膜炎、脊髄炎、脳血管障害、運動神経麻痺、帯状疱疹後神経痛、眼瞼結膜炎、角膜炎、ぶどう膜炎、網膜炎、耳鳴り、めまい、顔面神経麻痺などがあります。その中でも一番頻度が多いのが、帯状疱疹後神経痛です。

帯状疱疹後神経痛 Postherpetic Neuralgia:PHN

治療後も神経の損傷が残った状態(帯状疱疹後神経痛)により長期にわたりピリピリと電気が走ったような痛みや焼けるような痛みなどで苦しむことが、帯状疱疹を発症した方の20%ほどに存在している(SHEZ study)との報告もあります。
帯状疱疹を発症しないようにワクチンによる予防が大切と考えられています。
治療はメコバラミン(ビタミンB12)、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、アミトリプチリン、デュロキセチン(SNRI)、プレガバリンやミロガバリン、トラマールなどの薬物療法を中心に行います。
お薬の効果が不十分の場合には、ペインクリニックや麻酔科の先生と協力して治療します。

ワクチン

アメリカやヨーロッパの一部では10年以上前から、 帯状疱疹予防のためのワクチンとして高力価水痘ワクチン(ZOSTAVAX®)が用いられていましたが、アメリカではすでに使用中止となり、今ではシングリックス®が推奨されています。
日本では、2016年3月から水痘生ワクチンが50歳以上の帯状疱疹予防目的で使用できるようになり、2020年1月からシングリックス®が使用できるようになりました。日本ではどちらも使用できますので、それぞれの特徴を表にお示しします。
どちらか迷われる場合には一度ご相談ください。

横スクロールでご確認いただけます。

⽔痘・帯状疱疹⽣ワクチン シングリックス®
対象 50歳以上の⾮免疫低下者 50歳以上の⽅全て
接種⽅法 ⽪下注射(1回) 筋⾁内注射(2回)
効果 【帯状疱疹の発⽣率】1)
51.3%減少
【帯状疱疹の重症度】1)
61.1%低下
【帯状疱疹後神経痛の発⽣率】1)
66.5%減少
【帯状疱疹の予防効果】2)3)

    50〜59歳:96.6%

    60〜69歳:97.4%

    70〜79歳:90.0%

    80歳以上:89.1%

【帯状疱疹後神経痛の予防効果】4)

    50歳以上:91.2%

    70歳以上:88.8%

接種できない方 妊婦・免疫不全者・ステロイド使⽤中の⽅

    本剤にアレルギーのある⽅

    発熱や体調のお悪い⽅

有効期間 ワクチン接種後

    3.3〜7.8年:相対低下率39.6% 5)

    4.7〜11.6年:相対低下率21.1% 5)

ワクチン接種後7年間で84%以上有効 4)
接種後10年での免疫応答力は接種前の3.5-6倍 6)
その他 アメリカでは使⽤中⽌となった 4) 帯状疱疹の既往歴や帯状疱疹⽣ワクチンの接種歴に関係なく、2回投与が必要
費⽤
(税込)
8,600円 44,000円
(2回接種:1回22,000円)

1)Oxman MN, et al., N Engl J Med 352: 2271-2284, 2005
2)Lal H,et al.:N Engl J Med.2015;372(22):2087-2096.
3)Cunningham AL,et al.:N Engl J Med.2016;375(11):1019-1032
4)Centers for Disease Control and Prevention:Shingles Vaccination
5)Cook SJ, et al., Clin Ther 37: 2388-2397, 2015
6) Hastie A, et al.:J infect Dis.2020

水痘・帯状疱疹ウイルス

水痘・帯状疱疹ウイルスは、8種類あるヒトヘルペスウイルス(human herpes virus:HHV)の1種でαヘルペスウイルス亜科に分類され、HHV-3とも呼ばれます。初感染で水痘(水ぼうそう)を引き起こした後、症状が治っても、完全に消滅することなく、感覚に関与する神経節(知覚神経節)に休眠状態(潜伏感染)で存在し、免疫低下などが誘因となり再活性化を起こして帯状疱疹を引き起こします。同じαヘルペスウイルス亜科のウイルスに単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)1と2が存在しており、それぞれ口唇ヘルペスや性器ヘルペスを引き起こします。