新型コロナウイルス感染症
COVID-19
新型コロナウイルス感染症
COVID-19
COVID-19
新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)は、SARS-CoV-2によって引き起こされる病気です。WHOが最初に2019年12月31日に中国の武漢で発生した「ウイルス性肺炎」の集団発生が報告されたことが発端となり存在が認知されました。
COVID-19の症状は、発熱、咳嗽、倦怠感、味覚・嗅覚の喪失、鼻詰まり、結膜炎、咽頭痛、頭痛、筋肉痛や関節痛、嘔気・嘔吐、下痢、悪寒など多岐にわたります。
その他の症状には、呼吸困難、食欲減少、錯乱、胸痛や圧迫感、意識の低下、不安、うつ、睡眠障害、神経学的症状も存在しています。
症状がある人の内、約80%は、比較的症状が軽く速やかに回復しますが、約20%が酸素の必要な中等症となり、約5%が集中治療の必要な重症となります。
第6波以降中等症の死亡率が増加していると報告があります。
COVID-19は急性期の段階では、合併症に注意しつつ治療に重点を置いて対応しますが、急性期からの回復期に一部の患者さんでは症状が継続し、また新しい症状を発症することがあるので、症状に応じて精査と治療が必要になります。
※これらの段階は症状の経過を表現しているので、コロナウイルスに感染する・しないとは関係ありません。
COVID-19後の持続的な症状(以下、後遺症)は、COVID-19患者さんの1/3以上が経験します。回復の時間経過は、基礎疾患とCOVID-19の重症度によって異なりますが、重症であるほど長期化する可能性が高くなります。また、重症度以外では患者さんの基礎疾患や変異株によって後遺症発生率に差があるとされています。イギリスで行われたデルタ株とオミクロン株の後遺症の発生率を比較した研究では、デルタ株に比べてオミクロン株では約1/2から1/4の発生率であったという報告がされています。
Antonelli M, Pujol JC, Spector TD, et al. Risk of long COVID associated with delta versus omicron variants of SARS-CoV-2. Lancet 2022.
症状 | 症状の影響が出る割合 | 症状改善までの期間 |
---|---|---|
一般的な身体症状 | ||
倦怠感 | 15〜87% | 3ヶ月以上 |
呼吸困難 | 10〜71% | 2~3ヶ月以上 |
胸部不快感 | 12~44% | 2~3ヶ月程度 |
咳嗽 | 17~34% | 2~3ヶ月以上 |
嗅覚障害 | 10~13% | 1ヶ月、まれにそれ以上 |
あまり一般的ではない身体的症状 | ||
関節痛、筋肉痛、頭痛、鼻炎、 味覚障害、食欲不振、下痢、めまい、不眠症、脱毛症、発汗 |
<10% | おそらく数週間〜数か月 |
心理学及び神経・認知学的症状 | ||
心的外傷後ストレス障害 | 7~24% | 6週間~3ヶ月以上 |
記憶障害 | 18~21% | 数週間~数ヶ月 |
集中力の低下 | 16% | 数週間~数ヶ月 |
不安、うつ病 | 22~23% | 数週間~数ヶ月 |
生活の質の低下 | >50% | おそらく数週間〜数ヶ月 |
この表は症状とその割合、症状改善までの期間を示しています。
※これらのデータは、パンデミックの初期のものであり、新たなデータが出現するにつれて変化する可能性があります。
References:
など
イタリアの軽症COVID-19の患者さんで調査した研究があります。
mRNAワクチン接種者と未接種者と比較した際に、コロナウイルス変異株に関係なく、回数が多いほど後遺症の発生率が低下することがわかりました(未接種42.8%、1回接種30%、2回接種17.4%、3回接種16%)。
Azzolini E, Levi R, Sarti R, et al. Association Between BNT162b2 Vaccination and Long COVID After Infections Not Requiring Hospitalization in Health Care Workers. JAMA 2022.