新型コロナウイルスの合併症・後遺症の評価と管理
COVID-19
新型コロナウイルスの合併症・後遺症の評価と管理
COVID-19
COVID-19
安静時や労作時呼吸困難、咳嗽、喘鳴、胸部不快感、胸痛、動悸、末梢性浮腫、めまい、失神などの症状が出現します。具体的には、呼吸困難スケール、パルスオキシメーター、心電図検査、心臓超音波検査、呼吸機能検査、胸部レントゲン検査、CT検査などで評価します。
COVID-19肺炎の呼吸困難は、ゆっくりと改善する場合があります。しかし、肺障害が深刻な場合や呼吸筋・神経に障害がある場合は、最大6~12ヶ月などと長引く可能性があります。
酸素を必要とせず心疾患が原因ではない場合、以下の呼吸訓練法を実施します。
持続的な酸素飽和度低下(SpO2≤92%)であり、酸素療法の必要性がある場合、速やかに呼吸器科に紹介する必要があります。
急性COVID-19後の咳に対する主な治療は内服と吸入療法です。日常生活での支障がないかごく僅かな場合には、内服の咳止めで対応できます。しかし、咳で夜も眠れないなど日常生活での支障が大きい場合には吸入療法やオピオイドが必要な場合があります。
急性COVID-19後に続く胸部不快感は、ゆっくりと改善する場合があります。生活の質を妨げない限り、通常は治療を必要としません。持続的で重度の不快感がある場合は、非ステロイド性抗炎症薬で改善する場合があります。
圧迫感が気管支痙攣によるものと考えられる場合は、吸入薬による治療が必要です。また、COVID-19関連の心筋障害、心筋炎による胸痛の場合には、高度医療機関に紹介する必要があります。
COVID-19後の起立性および自律神経失調症(原因不明の頻脈、立ちくらみ、だるさなど)の患者に対して、弾性ストッキング、腹部バインダー、水分補給、理学療法、行動療法、薬物療法などで対応します。
急性COVID-19の神経学的合併症(脳卒中、発作、低酸素性脳症、重症疾患に関連する神経筋衰弱、ギラン・バレー症候群、脳炎など)の患者さんに対しては、問診、身体診察などを行い、日常生活への影響を評価します。原因不明の神経学的異常または局所病変などがあれば、CT/MRI検査などを検討し、必要に応じて神経内科に紹介します。
COVID-19の多くの患者さんは、血が固まりやすくなる傾向にあります。特に重症者では、静脈/動脈血栓症を発症する場合もあります。深部静脈血栓症、肺塞栓症、動脈血栓症の徴候や症状の有無を診察します。血が固まりやすくなる傾向の期間は不明ですが、明確な兆候がない場合は経過を見ていくことになります。
急性COVID-19により嗅覚や味覚が喪失、低下はほとんどの場合、数週間かけてゆっくりと治まります。長期間続く味覚障害、嗅覚障害には、嗅覚トレーニングで改善する可能性があります。具体的には1日2回複数の精油を10週間嗅ぎ続けます。嗅細胞は死滅と再生を繰り返す神経細胞でトレーニングを行うことで嗅覚の活性化や再生されるペースの促進、鼻と脳の接続再構築といった効果が期待されています。またトレーニングと同時に耳鼻科に紹介します。
急性COVID-19の間やその後の3~6か月で、COVID-19が原因となる新たな真性糖尿病の発症はほぼありませんが、糖尿病患者では新たにインスリンが必要になる、インスリン量が増加する可能性があります。以前の研究では、重大な病気の後に骨密度の減少が加速することが知られているので骨密度の測定も必要に応じて行います。疲労、筋肉痛、起立性、食欲減退、嘔気、体重減少などがある場合には、副腎機能不全を考え検査を実施する必要があります。
嘔気と下痢などの持続的な症状は、ゆっくりと改善します。しかし、新たな症状や増悪する症状の場合、特に抗菌薬を投与されている場合は抗菌薬関連下痢症(Clostridioides(Clostridium)difficile腸炎など)を考慮する必要があります。
気分、不安、孤立感、ストレスレベルを患者さんやその介護者に質問し、不安やうつ病の症状、希死念慮の有無などを評価します。軽度から中等度の不安症やうつ病の患者さんには、必要に応じて治療しますが、重度の不安症やうつ病、心的外傷後ストレス症候群の患者さんには、心療内科・精神科に紹介します。
急性COVID-19後の睡眠障害は一般的であり、睡眠の質と持続時間について問診します。不眠症の患者では、睡眠衛生指導、リラクゼーションなどが必要です。
定期的な就寝時間と起床時間 | 就寝時刻と起床時刻を一定にすることで、より規則的な睡眠スケジュールにつながります。 |
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昼寝を避ける | 昼寝、特に1時間以上の昼寝や遅い時間の昼寝は避けてください。 |
カフェインの摂取時間の制限 | 昼食後はカフェインを控えましょう。カフェインの半減期が2~8時間であるため、カフェインの影響が就寝に影響します。 |
アルコールを避ける | 就寝前のアルコールを避ける必要があります。最初は鎮静作用がありますが、代謝されるにつれて活性化するため、アルコールは睡眠に悪影響を及ぼします。 |
ニコチンを避ける | ニコチンは刺激物であり、就寝前や夜間は避けるべきです。 |
エクササイズ | 日中の身体活動は、入眠を促進する可能性があるため、特に就寝時刻の4~6時間前に行うことをお勧めします。就寝前2時間以内の激しい運動は避けてください。 |
睡眠環境を静かで暗く保つ | 夜間の騒音や光にさらされると、睡眠が妨げられる可能性があります。ノイズを低減するために、ホワイトノイズまたは耳栓が推奨されます。また就寝時間の近くでテレビやスマートフォンなどの光を避ける必要があります。 |
寝室の時計 | 時間を確認すると、認知的覚醒が高まり、覚醒が長引くため、夜に時間を確認することは避けてください。 |
夜食 | 夕食はヘルシーで程よい満腹感が得られる食事を摂り、空腹で就寝せず、夜食は避けましょう。 |
症状が持続している人でも、予防接種後に症状が悪化するというデータは示されていません。一般に推奨されているワクチン接種の期間で良いです。